Bolensトラクタコレクション
コレクションの概要
東大農場では1952(昭和27)年に、4.3馬力ガソリンエンジンを搭載した歩行用トラクタ Huski(ハスキー)B6A型を、農薬散布機、トレーラ、草刈機、シードプランタ(播種機)など付きで、466,715円で購入しました
当時、大学卒程度の行政職国家公務員(現在の総合職・大学卒程度)の初任給が7,650円だったので、Bolens Huskiは実に月給の61ヶ月分という高価な品物でした。安易な計算ですと、現在なら100馬力超の乗用トラクタに匹敵する価格です
また、Bolens Huskiは、東大農場で最初に導入された歩行用トラクタでした。この後、1958(昭和33)年までに、2機種3台の歩行用トラクタと1機種1台の乗用トラクタを購入し、合計4機種5台のトラクタと、16種類の作業機がコレクションされています
コレクションの紹介
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Bolens(ボーレンス)社
Bolens(ボーレンス)社は、1850(嘉永3)年に米国Wisconsin(ウィスコンシン)州Port Washington(ポートワシントン)で創立され、1919(大正8)年には動力ガーデントラクタを世界で初めて開発したとされています
1948(昭和23)年頃に防除用ポンプメーカーから肥料や農薬の総合化学メーカーになったFood Machinery and Chemical (フード マシナリー アンド ケミカル)社(現FMC社)に吸収された後、1993(平成5)年にはGarden Way(ガーデン ウェイ)社に買収され、さらに2001(平成13)年にはOhio(オハイオ)州Cleveland(クリーブランド)にあるMTD社(Modern Tool and Die(モダン ツール アンド ダイ)社)に買収されたが、ガーデントラクタのブランド名としてBolens
は現在も存続しています
なお、耕耘機(こううんき)のような小型トラクタをアメリカではガーデントラクタと称し、当時は歩行用トラクタでしたが、最近では乗用トラクタが主流となっています
歩行用トラクタ
わが国では、歩行用トラクタは、ハンドトラクタ・耕耘機(こううんき)・耕運機・ティラー・テーラー・ガーデントラクタ・管理機・マメトラなど、さまざまな名称で呼ばれています。アメリカなどでは、庭の芝刈り用として、ガーデントラクタの名称を用いることが多いです
ちなみに、牛馬に代わる動力の供給源がtractor(トラクタ)であり、ブルドーザやトレーラトラックなどの建設機械や輸送用自動車の動力部もトラクタですし、航空機を押し引きするのも、ロケットを発射台に運ぶのも国際的にはトラクタと呼ばれており、戦車の原型もトラクタです。しかしながら、わが国では、農業用以外にトラクタの名称を一般的に使うことはほぼありません
「耕運機」と書かれるのは、歩行用トラクタにトレーラを連結して運搬用に使ったことからです。また、川崎市にあった細王舎が、1953(昭和28)年に米国のMerry Tiller(メリー ティラー)社と技術提携を行い、小型では日本初の空冷エンジン搭載の安価な耕耘機を「メリーテーラー」と称して販売し、農家の必需品ともいわれるまでに普及したため、農家などではテーラー(正しい訳はもちろん「洋服屋」)と呼ぶのが広まり、クボタは商品名として今でも「テーラー」を用いています。そして、「マメトラ」は、小型農業機械メーカーのマメトラ農機製の歩行用トラクタが普及した地域で使われており、「キャタピラー」・「ユニック」・「ユンボ」などの語源と同様です
なお、「トラクター」と書かれる場合も少なくないですが、農場博物館では教科書用語である「トラクタ」と表記しています