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2020.02.28研究成果
気孔をすばやく開かせることで、野外における植物の成長促進に成功
【原題】 Improved stomatal opening enhances photosynthetic rate and biomass production in fluctuating light
発表者
矢守 航 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 准教授) 【責任著者】(研究当時:東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 准教授)
発表のポイント
- 野外では、雲の動きや上部に存在する葉の動きによって葉の受ける光強度は大きく変動する。光強度が一定の環境で光合成能力を強化した例はいくつかあるが、「変動する光環境」に対する植物の光合成応答の強化に成功した研究例はまだ極めて少ない
- 気孔は環境に応じて開閉することによって、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散による水分の放出を制御している。本研究では、光強度の上昇に応じて気孔をすばやく開かせることで、野外の光環境を模した変動光環境において光合成および植物成長を促進することに成功した
- 野外の変動する光環境における光合成の調節メカニズムの全貌の解明は、地球レベルの大気CO2の削減や食料増産のために必須な光合成効率の改善や光合成生産向上のための技術基盤となるだろう
詳細は 東京大学大学院理学系研究科プレスリリース をご覧ください。
発表誌情報
Haruki Kimura, Mimi Hashimoto-Sugimoto, Koh Iba, Ichiro Terashima and Wataru Yamori. 2020 Improved stomatal opening enhances photosynthetic rate and biomass production in fluctuating light. Journal of Experimental Botany