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2017.06.01研究成果

安定同位体比分析により農作物を利用するヒグマの行動パターンを解明する

【原題】 Stable isotope and DNA analyses reveal the spatial distribution of crop-foraging brown bears.

 

発表者

高田まゆら(東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構 准教授)【責任著者】

 

発表の概要

 ヒグマの農業被害が深刻な北海道東部阿寒白糠地域を対象に、ヒグマによるトウモロコシの利用パターンを調べました。2011~2015年にヒグマの地域個体群の中心部(山間部)から周縁部(農耕地付近)にかけて広範囲にヒグマの体毛を採集し、体毛の毛根部より抽出したDNAを用いて性判別と個体識別を行った結果、30個体分の体毛を収集できました。続いてヒグマ体毛の安定同位体比分析により各個体のトウモロコシの利用を検討した結果、トウモロコシを利用した可能性にはヒグマ個体間で大きな差があることが示唆されました。さらにメスは農耕地付近に生息する個体ほどトウモロコシを利用した可能性が高いと考えられ、一方オスではそうした関係は見られず、トウモロコシを利用した可能性の高い個体は地域個体群の中心部にも周縁部にも確認されました。

 

発表誌情報

A. Hata, M. B. Takada, R. Nakashita, K. Fukasawa, T. Oshida, Y. Ishibashi, & Y. Sato: Stable isotope and DNA analyses reveal the spatial distribution of crop-foraging brown bears, Journal of Zoology, 2017

URL: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jzo.12479/full