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ペロ・・・これは同種の味!!
【原題】 Vine tendrils use contact chemoreception to avoid conspecific leaves
発表者
深野 祐也 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 助教) 【単著】
発表の概要
東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の深野祐也助教は、ブドウ科つる植物であるヤブガラシの巻きひげが、接触によって同種の葉を識別し、巻きつきを忌避する能力を持っていることを発見しました。また、その識別に関与する物質は、ヤブガラシの葉中に高濃度に含まれるシュウ酸化合物であることを特定しました。
巻きひげの素早い運動はダーウィンの時代から世界中で研究されてきましたが、巻きひげが接触した物体を化学的に識別し、巻きつき相手を選択できるということは、今回初めて明らかにされた現象です。つる植物は、自らだけでは成長することができず、安定した物体に巻き付いて垂直方向に登っていく必要があります。高い密度で繁茂することの多いヤブガラシにとって、同種を適切に避ける能力は、他種の植物など安定な物体に巻きつく上で必須な能力だと考えられます。巻きひげをもつ植物は、果樹や野菜、緑のカーテンとしての観賞植物、そして電線にからみつく雑草などとして、私たちの生活に密接に関連しているにもかかわらず、このような単純かつ基本的な現象が、これまで見逃されてきたことは驚きとも言えます。今後、つる植物が持つ化学識別の一般性やそのメカニズムが解明されることで、つる植物の巻きつきを制御できる可能性があります。
東京大学大学院農学生命科学研究科プレスリリースもご覧ください。
URL: http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2016/20170302-1.html
この発表は「New Scientist」にも取り上げられました。
発表誌情報
Yuya Fukano (2017) Vine tendrils use contact chemoreception to avoid conspecific leaves. Proceedings of the Royal Society B. volume 284, pp. 20162650
URL: http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/284/1850/20162650