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2016.02.29研究成果

刈り取り残渣を利用した二次草地および二次林における植生復元技術の開発

【原題】 クロマツ二次林の林床・林縁植生における秋季の結実種数および種子数の経時変化

 

発表者

山田 晋 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 助教)【筆頭著者】

 

発表の概要

 結実種子を多量に含む刈り取り残渣は,多様な植物種から構成される植物群落を新たに創出しようとする場合に有効に利用しうる生態的緑化資材です。これまでヨーロッパでは,結実種子を多量に含む「干し草」を植物群落の創出や植生復元に利用しようとする試みが実施されてきました。ところで,薪炭利用によって草本・木本群落の過程が交互に訪れる二次林は,日本を含むモンスーンアジア地域の主要な土地利用となっており,その林床は草原生植物の重要な生育地となっています。しかし,こうした立地における刈り取り残渣の利用可能性は明らかとなっていません。

 そこで本研究では,千葉県千葉市を研究対象地として,半自然草地における秋季の結実種子の形成時期を,やや被陰された林縁・林床環境と比較しながら調査しました。

 9月における結実種および結実種子数は,10月および11月と比較して著しく低下していました。草原環境を指標するような植物種は,半自然草地と林縁・林床においてともに記録されましたが,後者においてはほとんど結実種子を確認することができませんでした。林縁・林床環境は,草原生植物が枯死しないまでも,低い光量のために結実には至らないものと推測されました。

 

発表誌情報

山田晋・南定雄(2015):クロマツ二次林の林床・林縁植生における秋季の結実種数および種子数の経時変化. ランドスケープ研究 78, 655-658.

URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jila/78/5/78_655/_article/-char/ja/