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2016.02.23研究成果

イネの高温障害(不稔や玄米外観低下)を軽減するための育種

【原題】 Breeding efforts to mitigate damage by heat stress to spikelet sterility and grain quality

 

発表者

佐々木 和浩 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 助教) 【共著】

 

発表の概要

 気候変動による登熟期の高温ストレスにより、日本ではイネの玄米外観品質の低下が問題になっています。さらに、より高温となった年には、高温による不稔が引き起こされています。

 高温不稔に関しては、高温耐性に関与する量的形質遺伝子座(QTL)が検出されています。また、高温を回避する早朝開花性に関するQTLも特定されています。早朝開花性とは、日中の高温を避け、涼しい朝方に開花させると性質のことです。高温不稔を回避する形質として、その効果が認められています。登熟期の高温ストレスに関しては、玄米外観品質の低下を軽減する品種育成が進められています。

本総説では、これまで検出されてきた高温障害を軽減するQTLを網羅し、解析が進んでいる遺伝子座について、その効果を紹介しています。

 

発表誌情報

Tsutomu Ishimaru, Hideyuki Hirabayashi, Kazuhiro Sasaki, Changrong Ye & Asako Kobayashi inpress, Plant Production Science, DOI:10.1080/1343943X.2015.1128113

URL: http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/1343943X.2015.1128113