研究成果

苗の並べ方でイモの収量が変わる ー植物の自他識別を応用した新しい栽培法をキクイモで実証ー
2018/12/11

【原題】 Genotype-aggregated planting improves yield in Jerusalem artichoke (Helianthus tuberosus) due to self/non-self discrimination

 

発表者

深野 祐也 (東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 助教) 【第一著者】
郭 威 (東京大学大学院農学生命科学研究科 特任助教) 【第二著者】
神川 翔貴 (東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構 技術職員) 【第五著者】

 

発表の概要

 東京大学農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の深野祐也助教らは、植物の自他識別能力 (※ 隣に生えている株が自株すなわちクローン個体か他株かを識別することができ、他株が隣に生育している場合に、根の量を増やしたり伸長方向を変化させたりして隣株に対して競争的にふるまう能力のこと。多数の植物で報告されているが、メカニズムはほとんどわかっていない。)  を応用した苗の作付け方法を考案し、キクイモで検証したところ、収量が増加することを明らかにしました。近年、さまざまな植物で自他識別能力を持つことが実験室や温室での栽培実験で多数報告されています。しかし、この能力を農作物の栽培方法に応用した事例はありませんでした。そこで本研究グループは、キクイモを対象に、自他識別を応用した栽培方法の有効性を検証しました。キクイモは、親芋を分割することで複数の苗ができます。もしキクイモに自他識別能力があるとすると、同じ親芋由来の苗(自株)が隣り合うように配置することで、無駄な競争が抑えられ、結果として収穫量が増加することを想定しました。温室での栽培実験と圃場試験の結果、予測の通り、隣が自株の場合には隣が他株の時と比べて株間の競争が抑えられ、イモの生産が増加しました。この結果は、肥料や農地を増やすことなく、苗の由来を考慮して植え付けするだけで収量を増やすことが可能であることを示しており、農学的に重要な結果です。加えて、植物の自他識別が野外環境でも重要な役割を果たしていることを示した点で生態学的にも重要な結果とも言えます。

東京大学大学院農学生命科学研究科プレスリリースもご覧ください。

URL: https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20181126-1.html

 

発表誌情報

Yuya Fukano, Wei Guo, Koji Noshita, Shoko Hashida, Shotaka Kamikawa. 2018 Genotype-aggregated planting improves yield in Jerusalem artichoke (Helianthus tuberosus) due to self/non-self discrimination. Evolutionary Applications

URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/eva.12735

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